LIFE WITH TALISKER 人生を豊かに彩るウイスキーコラム
タリスカーを愉しむ
グラステイスティングの極意 ウイスキーグラスで知っておきたいポイントは?
オーストリアの名門グラスウェアブランド「リーデル」のグラステイスティング・セミナーの第2弾。前回は、グラスの種類によって生じるウイスキーの香りや味わいの感じ方の違いをお伝えしましたが、今回はさらに奥の深いグラステイスティングや、グラスのメンテナンス方法をご紹介。講師は前回に引き続き、テイスティング・マネージャー兼チーフグラスエデュケイターの庄司大輔さんです。
お酒の個性やメッセージを
最高の状態で伝える
前回は、グラスの形状によるウイスキーの味わいや香りの感じ方の違いを理解いただくために、リーデルのグラスを使ってのテイスティングをご紹介させていただきましたが、今度はさらに一歩進んだグラスの楽しみ方、つき合い方についてお話ししてまいりましょう。
前回記事「ウイスキーにおすすめのグラスはどれ?」はこちら
仕事柄、ウイスキーをストレートで飲むのに最適なグラスはどれか?という質問をよくいただきます。
ウイスキーは飲むグラスの形状によって味わいや香りの印象がどれほど大きく変わってしまうのか。
それを実際に体感いただくために、セミナーでよく使うのが「コニャックグラス」「テキーラグラス」「シングルモルトグラス」の3つです。
これらのグラスの形状は、それぞれのお酒が本来持っている個性やメッセージを最高の状態で伝える目的で作られています。
形状をこまかく比較すると、グラスによる違いがいっそう理解しやすくなります。
形状ごとに異なる
機能や役割を知る
ご注目いただきたいのは、お酒を飲む時、グラスの形状の違いによって、感じ方が変わってくる点です。
舌のどの部分で最初にお酒を感じるのか、その後、どんな流速で、どのように舌の上を流れていくのか。
お酒を口に含む量など、さまざまな条件によって感じ方に違いが生じます。
この違いが、舌のどの地点でウイスキーを感じるかの違いとなり、お酒の味わいや香りの印象を大きく左右するのです。
コニャックグラス
グラスを傾けると、ウイスキーが、口径の小さい反り返った飲み口から細く流れ込む形状です。
この形状によって、グラスを上に向け、顔を上げて飲む格好になるので、ウイスキーはまず舌先に導かれ、その後、舌の中央付近をウイスキーが流れます。
タリスカーを飲んだ時の、オイリーかつフルーティな印象は、この舌上での流れ方がもたらすのかもしれません。
⇒ コニャックグラスの詳しい情報はこちら
シングルモルトウイスキーグラス(マシンメイド)
コニャックグラスと同様、顔を上げた格好で飲むカタチになりますが、ウイスキーが舌先に細く、そっと導かれます。
そのため、タリスカーを飲むと、口の中でスモーキーなフレーバーが強調され、ほどよくアルコール臭が逃がされるため、タリスカーらしい潮の香りが感じやすくなると考えられます。
⇒ シングルモルトグラス(マシンメイド)の詳しい情報はこちら
テキーラグラス
これまでの2つのグラスに比べると、最初にウイスキーを感じるポイントが、若干舌の奥のほうにずれています。その後は、少し広がるように流れる印象です。
テキーラグラスでタリスカーを飲むと、アルコールの強さというよりも、ウイスキーの味自体の力強さを感じやすくなりますね。
⇒ テキーラグラスの詳しい情報はこちら
タンブラー
ご紹介した3種のグラスに対し、タンブラーの場合は、顔をそれほど傾けなくてもウイスキーが口の中に入りますので、ウイスキーから見て、舌が登り坂の状態になります。
そのため、ウイスキーは舌先を飛び越えて、少し奥まったあたりから舌の上へ乗っかり、そのまま横へ広がりやすいのです。
タンブラーでタリスカーを飲むと、甘みやフルーティさは引っ込み、アルコールの刺激への印象が強くなります。
⇒ タンブラーの詳しい情報はこちら
ウイスキーを飲むグラスにタンブラーを選ぶ人が多いと思いますが、多くの人がウイスキーに対して持つ「強いお酒」というイメージは、タンブラーで飲むことでより強調されているのではないでしょうか。
知っておきたい
グラスのメンテナンスのコツ
ところで、話しは変わりますが、グラスを洗っているときに、ポキッと折れてしまった経験はありませんか?
ウイスキーのためにせっかく買いそろえた貴重なグラスは、大事にしたいものですよね。
自宅でのメンテナンスについても、知っていただきたいポイントがいくつかあります。
グラスの洗い方・拭き方
ガラスの厚みは、ウイスキーの味わいの印象を大きく変える要素なのですが、高品位なグラスは薄くできている場合が多く、タンブラーなど割れにくい強いグラスと同じように扱うのはNGです。
グラスは「ねじれの力」に弱く、薄いグラスの扱いになれていない方が、バーテンダーさんを真似て、グラスを回すように洗ったり、拭いたりすると、ステムが折れたり、グラスが割れる原因となりやすいので、注意が必要です。
ボウル全体を包むように手に持ち、決してねじれの力を加えず、縦方向に手を動かすのがグラスを割らないコツです。
「ねじれの力」が加わらないようにすれば、グラスの寿命は大きく延びるはず。
そのためにも、飲み口を「ギュッ」とつまんでロックしないよう意識しましょう。
グラスの保管方法
グラスを保管する際は、グラスを伏せて置かず、普通に上に向けて置くようにします。
そもそも、グラスは立てた状態で重心のバランスが保たれるようになっているので、逆さにすると倒れやすくなるのでご注意を。
また、食器棚に入れるときにピカピカにしたくなる気持ちはわかりますが、実は重要なのはむしろ、取り出して使う時です。
食器棚から出したてのグラスにいきなりタリスカーを注ぐと、食器棚の匂いまで移ってしまいます。
グラスをしまう前にきれいに拭きあげるよりも、使う際にチェックするほうがより重要です。
ウイスキーを飲む直前には軽く洗っておくか、湯気をあててから清潔なふきんで、乾拭き(からぶき)をするようにしましょう。
こだわる人はグラスを「リンス」
少しもったいない気がしますが、これから飲むウイスキーを少し入れてすすぐ「リンス」もおすすめです。
こうすれば、グラスの内側にウイスキーの膜ができ、香り立ちが良い状態になります。
グラスに付着したイヤな匂いやホコリもこれでおおよそ取り除けて一石二鳥です。
今日は飲まないけれど、せめてタリスカーの香りだけでも!という時もおすすめです(笑)。
ぜひ一度試してみてください。
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