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「あちらの方から」は本当にある? バーテンダーさんに訊いた今さら聞けないコト

タリスカーを愉しむ

「あちらの方から」は本当にある? バーテンダーさんに訊いた今さら聞けないコト

Barで楽しく美味しくウイスキーを飲みたい。タリスカーを楽しむ、行きつけのお店や飲み方を見つけたい。とはいえ、1人飲みはちょっと勇気が…、服装も気になる…。今回は「バーでちょっと気になること」を日比谷BARで活躍中のバーテンダーの皆さんに直接聞いてみました。

「バーは初めて」
そんなお客様をバーテンダーは
どう思っている?

左から新家拓生さん、川原万季さん、荒川泰六さん 左から新家拓生さん、川原万季さん、荒川泰六さん

初めてのバーに1人で行く時は、なぜかとても緊張するもの。そんなお客様に対し、バーテンダーの方々はどんな思いを抱いているのでしょうか。


――バー初心者らしきお客様が来店された時、どのように接客されますか?

荒川泰六さん THE 日比谷 BAR 銀座 二代目マスターバーテンダー。バーテンダー歴は前職と合わせ11年目。 荒川泰六さん
THE日比谷BAR 銀座二代目マスターバーテンダー。バーテンダー歴は前職と合わせ11年目。

荒川:「バーはよくご利用になられますか?とか、少し遠回しにお訊ねするようにしています。初めてですか?とはお聞きしません。最初から『バーの初心者ですか』と失礼な聞き方になってしまうので。」

新家:「今日はどこに行かれたんですかとか、そこはあくまでさり気なく。」

川原:「ですよね。普段どんな場所に行かれているかお訊ねすると『実は初めて』というお客様もよくいらっしゃいます。『バーは初めて』ということをストレートに伝えていただくほうが、お客様もバーテンダーも安心だと思います。」

荒川:「誰でも初めてのバーは印象的なもの。バーテンダーとしては、自分が提供する味がその方にとってのスタンダードになると思うと、つい張り切ってサービスしたくなりますね(笑)」


――お酒やバーに関する予備知識はあったほうがいいですか?

新家拓生さん 日比谷 BAR 神保町店 マネージャー。バーテンダー歴は10年目。 新家拓生さん
日比谷BAR 神保町店マネージャー。バーテンダー歴は10年目。

新家:「そんなことはないです。知識は特になくても大丈夫ですよ。むしろ、その辺りはバーテンダーの領域になってきます。」

川原:「たとえばチェイサーという言葉も、バーになじみのないお客様には判りにくいもの。そんな時はお水をご用意しますか?とわかりやすくお聞きします。」

荒川:「ただ、お酒自体への興味は持っていただいてほしいというのがバーテンダーの本音。女性のお客様の中には小説や映画に出てきたお酒やカクテルのリクエストが多い。お出しして『これが飲みたかったんです!』と喜ばれるとこちらもテンションが上がります(笑)。」


ハワイ?初恋の味?

――注文の仕方がわからない、あるいは、飲みたいお酒のイメージが漠然としている場合は、どうすればいいですか?

荒川:「強いお酒が好みとか甘いのが良いとか、まずお酒の好みをどんどん伝えていただいたほうがいいですね。初対面のお客様の好みを多少予測はしますけれど。」

川原万季さん THE 日比谷 BAR 銀座 サブマネージャー。バーテンダー歴は前職と合わせもうすぐ丸5年。 川原万季さん
日比谷Bar 日比谷店サブマネージャー。バーテンダー歴は前職と合わせもうすぐ丸5年。

川原:「漠然とした注文も時々ありますよ。初恋の味のあれ、みたいな(笑)」

新家:「お客様で『ハワイに行ってきた時の…』みたいな注文をされた方もいましたね。その時はブルーハワイをお出ししましたが(笑)」

最初は誰もがバー初心者。その心得は、素直に初心者であることを伝えた方がお互いにスムーズ、というわけですね。


ユニークな注文をしてもOK?
気になる予算はいかほど?

バーでは、自宅では味わえない、少し変わったお酒も飲みたいところ。実は一風変わった注文でも、内容によってはオーダーできる場合も。

日比谷Barインタビュー


――自分をイメージしたお酒やカクテルを作って、なんて注文ありますか?

荒川:「それが初めて来店された女性のお客様に多いんです。内心は『知らないんだけどなあ』と思いつつも(笑)、その方の風貌や持ち物からイメージしてお作りするようにしています。」

川原:「そういうご注文は2~3杯目に頼まれるケースが多いですね。お連れの女性に合うセクシーなお酒を作ってほしいというリクエストもありました。そんな時はお客様の会話をヒントにしたりしています。」


理想の男性の味=タリスカー?

――ちなみにタリスカーはどんなお客様に、どんな飲み方でオススメされていますか?

新家:「タリスカーは強すぎず優しすぎず、カッコいいイメージのウイスキー。ロックで何か飲みたいというお客様にもピッタリですし、何よりタリスカー スパイシー ハイボールがイチ押し!」

川原:「私は女性にもオススメしています。そういえば『理想の男性の味がする』といわれたことが(笑)」

荒川:「フードとのマッチングを含めてオススメしやすいのがタリスカー。もちろんそれだけでなく、私はよくタリスカーとソーダを半々で作る、ハーフロックソーダも締めにお出ししています。」

タリスカー スパイシー ハイボール


――いろいろお酒を楽しんだ後、気になるのはお会計。バーには一般的にどのくらいの予算を見込めば良いですか?

荒川:「お店やエリアで相場も違うので一概には言えないですが、チャージが600~1,000円くらい。それに1杯1,000円くらいが標準的な料金ではないでしょうか。」

新家:「普通のバーなら3,000円くらいあれば、1~2杯は飲めると思います。」

荒川:「でも銀座だと5,000円くらいだよね?」

新家:「それも有名店だと1万円くらいかな。」

川原:「私も銀座のバーに行く時は、1万円を握りしめて行きます(笑)」

荒川:「初めてで料金面で不安があれば、予算を伝えていただいてもOKですよ。初めてのお客様だったら、ちょっと予算オーバーでもサービスしてしまうかも(笑)」

新家:「それはもうバーじゃなくてお寿司屋さんだね」

一同:爆笑

Barの予算とは?


バーでの振る舞いやマナーは?
「あちらの方から」はOK?

バーは特別な空間であるがゆえに、それなりのマナーも身に付けておきたいところ。どんな点に注意が必要なのでしょうか。


――バーに行く時の服装など、注意する点は何かありますか?

新家:「汚れた作業着とかツナギなどは、お店のムードと合わない気がしますね。」

川原:「あと、ビーチサンダル姿のお客様も。ファッションなのかご近所履きかで判断が分かれるところではありますが、避けていただいたほうが無難。」

荒川:その他、タンクトップ1枚の姿も威圧感があるので避けたほうが。ただ、日比谷バーはよほどのことがない限り入店をお断りすることはありません。ダースベイダーとかじゃなければ基本的にOK(笑)。大切なのは、他のお客様が不快にならない、迷惑をかけないという点です。」

日比谷Barインタビュー

――他のお客様への迷惑といえば、隣の席の方に話しかけるのはマナー違反ですか?

荒川:「うーん、そこはケースバイケースで判断が難しいところ。正直、止めたほうがいいのか迷う時もあります。ですが、バーには一人で静かに過ごしたいお客様もいれば、話したい方もいらっしゃいます。そういう点では、お客様をご案内する席にはとても気を遣いますね。」

新家:「基本的には、お客様の目的や楽しみ方を尊重するというスタンスです。お客様同士で盛り上がっていただけると、忙しい時には助かる場合もありますけど(笑)。お隣のお客様に直接話しかけるよりも、私たちバーテンダーに話しかけていただいて、三角関係的に話しをする方が知らない方とも話しやすいと思いますよ。」

荒川:「ただし、最初からナンパ目的で隣のお客様に話しかけるのはNGです。やはりバーは大人の社交場ですから。1人でお越しの女性の隣には男性はお座りいただかないようにしています。」


いつかはやってみたい「あちらの方から」

――ということは映画などでよくある「あちらの方から」といって初対面の女性にお酒をふるまうという場面は…

「あちらの方から」は本当にある?

荒川:「当然ながらありません(笑)。そういったご依頼はお引き受けしないのが原則ですね。どこのお店でもお断りするのではないでしょうか。」

結論。バーで「あちらの方から」というシーンは幻想。小説や映画の中でのお話しで、実際は、少なくとも日本のバーで初対面の方にお酒を御馳走するという場面はなさそうです。


良いバーの条件とは?
そして、カッコいい大人の
振る舞いとは?

バーは特別な空間であるがゆえに、それなりのマナーも身に付けておきたいところ。どんな点に注意が必要なのでしょうか。

良いバーの条件とは? 川原万季さん

男性が女性を口説ける店

――バー選びの参考にお訊ねしますが、良いバーの条件ってありますか?

川原:「よく言われますが『男性が女性を口説ける店』ではないですか?」

荒川・新家:「おーーーっ!(笑)」

川原:「いい意味でバーテンダーが引き立て役になって、男女のムードを盛り上げる、そんなバーが良いバーだと思います。」

新家:「なるほど。私の場合は下調べをしてから行くようにしていますが、注文しやすいことも良いお店の条件の一つだと思います。お客様と適度に距離を保ってコミュニケーションする接客も重要ですね。」

荒川:「私は、お店のコンセプトや雰囲気の一体感を重視しますね。オーセンティックなバーなら、お店の細部までこだわりを感じさせるようなお店に魅力を感じます。」


――その場のムードを大切にされるバーですが、これまでにお客様の中でカッコいい大人のお客様に出会った経験はありますか?

荒川:「男女を問わず、お店の中で周囲に気遣いできる方は大人だなと思います。個人的には、姿勢よく座った姿やグラスの持ち方が素敵な女性がカッコよく映ります。」

素敵なグラスの持ち方

新家:「男性で時計やネクタイ、メガネ、ペンといった持ち物にこだわりのある方にカッコよさや憧れを感じます。」

川原:「周囲への気遣いという意味では、来店のスタンスがはっきりされている方が大人だなあという印象です。バーテンダーとの会話を楽しみにされて来て、少し混み合ってくるとサッと引き上げるみたいな。そういう生き方の美学を感じさせる方こそ『カッコいい大人』ではないでしょうか。」

今回は貴重なお話しをありがとうございました。


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