シングルモルト スコッチウイスキー タリスカー MADE BY THE SEA

LIFE WITH TALISKER 人生を豊かに彩るウイスキーコラム

ピートとは?ヨード?燻製?ウイスキー特有の独特な香りの素の正体

タリスカーを知る

ピートとは?ヨード?燻製?ウイスキー特有の独特な香りの素の正体

ウイスキーの説明によく出てくる「クセのある味わい」という表現に見覚えはありませんか? 今回は、クセのあるスモーキーなスコッチウイスキーに欠かせない燃料、「ピート」のお話し。このピート、実は無料の燃料だったんです!そのワケとは…。

ヨーディ、スモーキー、
ピーティ、燻製香どれも
個性あるウイスキーの証し

スコットランドで生産されるスコッチ ウイスキーの特徴としてよく挙げられるのが「ピーティ」な味わいと香り

タリスカーを始め、スコットランドで生産されるスコッチ ウイスキーの特徴としてよく挙げられるのが「ピーティ」な味わいと香り。

ウイスキー初心者には、このピーティさゆえに飲みづらいというイメージがありますが、そもそもピーティ、あるいはピート香と呼ばれる独特な味わいと香りはどんなものなのでしょうか。

当コラムのテイスティングノートコンテストの審査員を務めていただいた、ウイスキー評論家の土屋守さん監修の著書の中に「ピーティ」に関するわかりやすい記述があるので拝借してみました。

正露丸やヨードのような薬品香、燻製のようなスモーキーさ、それらが混じり合った風味が「ピーティ」である。この独特な風味を生み出すのが「ピート」。
(ナツメ社刊 「ウイスキー完全バイブル」より)

ヨードのような風味を「ヨーディ」、燻製あるいは焼いた香木のような風味を「スモーキー」といいますが、これらの混じり合った複雑な香りこそがまさに「ピート」の風味というわけです。

ピーティなウイスキーは、確かにウイスキーを飲み始めたばかりの人には、とっつきにくく飲みづらい面があるかもしれません。

ですが、ピーティな味わいと香りは「クセになる」のも事実。徐々に飲み慣れるにしたがって、飲む人の中でかけがえのない親しみを覚えるようになってくることがあります。これこそがシングルモルトウイスキーの個性そのものといえるでしょう。


そもそもピートとは、
どんなモノ?

そもそもピートって、 どんなモノ?

ウイスキーに使われるピートは「泥炭」と表現されるように、植物が枯れた後、長い年月をかけて炭化し、地層として堆積した泥のような塊のこと。ピートは、タリスカー蒸留所のあるスカイ島を含む、スコットランド北部の原野でよく見られます。

写真の植物は、「ヘザー(ヒース)」と呼ばれる植物ですが、これがスコットランド産ピートの原料。枯れた後、土になり、何千年という歳月をかけてゆっくりと炭化していきます。

この植物が、独特の味わいと香りの素になるとは、ウイスキーとは、自然の力のたまものであると実感されられます。


ピートが使われるように
なったのは、
スコットランド人が
○○だから?

ピートは、天然の炭としても使える

ところで、スコッチ ウイスキーにピートが使われるようになったのはなぜなのでしょうか。独特なクセや香りがついてしまうのにもかかわらず、です。

一般的には、その昔、多くの一般家庭の暖炉で使う燃料として薪や石炭の代わりに利用されていたため、ピートが身近な燃料だったからウイスキー造りにも使用したのではないか、といわれています。現在でも、スコットランドの一部の地域では、暖炉の薪がわりに使われているそうです。

しかし、ピートがウイスキーに使われるようになった本当の理由は、「スコットランド人はケチだから」ではないか、という説もあるのです。

例えば、スコットランド人のケチぶりを揶揄するこんなジョークがあります。

大きなスーツケースを3つ抱えたスコットランド人の男がロンドンの駅に着いた時、荷物を運ぶポーターに値段を尋ねた。

「最初の1個が50ペンスで、2個目からは30ペンスです」
と答えかえってきた。

それを聞いたスコットランドの紳士はこう言った。

「分かった。君は2個目と3個目を持ってくれたまえ。私が1個目を持つから」

この他にも、スコットランド人がケチであるということに対するこの種の笑えるジョークやエピソードは尽きないのですが、ピートがウイスキーづくりに使われるようになったのは、原野を掘り起こせばタダで手に入る燃料だから、これ幸いと飛びついたからではないか、という説も、案外真実なのかもしれません。

というのも、手でピートを掘り起こすのはなかなかの重労働。それでも燃料代を浮かせられると思えば、きつい仕事もいとわず、せっせとピートを掘り続けたわけです。

もしも、スコットランド人が筋金入りのケチでなかったら、もしかするとピーティなスコッチ ウイスキーは存在しなかったかもしれませんね。


ウイスキーづくりに
ピートはどう使われている?

ウイスキーづくりに ピートはどう使われている?

では、いわば泥の塊のようなピートを使って、どのようにしてウイスキーに香りを付けるのでしょうか。

まさか泥を砕いて原酒に混ぜていると思われた方は、ご安心を。実は、ウイスキーの製造過程の初期段階において「製麦(モルティング)」という工程があります。
モルトウイスキーの原料となる大麦は、そのまま放置してもアルコール発酵しません。そのため製麦の工程を通じて、大麦を発芽させ、その後大麦が大きくなり過ぎないよう乾燥させます。

この発芽した大麦を乾燥させるために、下から炭やピートを炊きます。家庭では暖を取るために使われたピートは、ウイスキーの蒸留所では、大麦の乾燥と香り付けのために使われているというわけです。

タリスカーを一口含んでまず広がるのは潮の香り、その香りの後にスカイ島産ピート由来のスモーキーなフレーバーが広がります。

タリスカーから感じるピートの味わいと香りもまた、スコットランド人の気質から生まれた風味なんです。

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