シングルモルト スコッチウイスキー タリスカー MADE BY THE SEA

LIFE WITH TALISKER 人生を豊かに彩るウイスキーコラム

大沢伸一さんインタビュー

タリスカーと生きる

常に新しいものを探求して、自分らしい個性で音楽を追求したい ~大沢伸一さんインタビュー~

InterFM897のラジオ番組「TALISKER Presents Golden Time of Day」では、タリスカーの「孤高のシングルモルト」のキャッチフレーズにちなみ、さまざまな分野から独自の哲学を持ったアーティストをフィーチャーする「孤高のアーティスト」というコーナーがあります。
11月6日・13日のゲストは、音楽家、DJ、プロデューサーとして多彩な音楽活動を続ける、大沢伸一さんです。今回は、都内にある大沢さんの音楽スタジオで行われた番組収録の模様をお届け!常に時代を見据えながら新しいサウンドを追求してきた独自の世界観に、番組DJのMC RYUさんが迫ります。

最高の音楽とお酒が
愉しめる空間を求めて
MUSIC BARをプロデュース

大沢伸一さん プロフィール(大沢伸一さん プロフィール)
音楽家、DJ、プロデューサー、選曲家。主な活動はMONDO GROSSO、AMPS、Thousand Tears Orchestra、LNOL。リミックスワークを含むプロデュースワークでBOYS NOIZE、BENNY BENASSI、ALEX GOHER、安室奈美恵、JUJU、山下智久などを手がける他、広告音楽、空間音楽やサウンドトラックの制作、アナログレコードにフォーカスしたミュージックバーをプロデュースするなど幅広く活躍。

RYUさん:大沢さんは、DJ、ミュージシャン、プロデューサーを中心とした音楽活動に加え、こだわりのMUSIC BARを代々木、銀座でプロデュースするなど、日本の音楽シーンの重鎮の1人。DJや音楽関係者の間では、本当にカッコいい兄貴的な存在で、ちょっとワガママな良い先輩です。

大沢さん:確かによく言われますね(笑)

RYUさん:実は大沢さんのスタジオにお邪魔させていただいたのは初めてですが、ギターの数の多さにびっくり。しかもアコースティックが多いですね。

大沢さん:僕はもともと弦楽器から音楽を始めたので、アイデアづくりのために昔からギターをよく使っていました。録音せずにスケッチ的に鳴らしたりしています。

RYUさん:まるでギタリストの部屋っぽくて意外でしたね。

大沢さん:実際、僕の楽曲にもギターはあまり出てきませんからね(笑)


MUSIC BARをプロデュースした理由

RYUさん:スタジオ内にはぎっしりと並んだレコード棚があります。ここにあったレコードの内、多くはすでに大沢さんがプロデュースしたMUSIC BARに移されたとのことですが、どういったいきさつがあったんですか?

大沢さん:音楽プロデューサーの小林武史さんと一緒にプロデュースした「代々木Village」は2011年にオープンしました。

小林さんから「代々木Village」プロジェクトを一緒に考えてほしいとお話しをいただいたのが2010年で、当時はアナログレコードの音楽が良質の音で聞ける場所が都内でも数える程度で、しかもロックやジャズなどジャンルが限定されていた。
自由に選曲できるお店はなかったし、音楽がちゃんと聴けるお店といえば、クラブやライブハウスばかり。

東京は世界に肩を並べる都市なのに、音楽を自由に聴ける場所がほとんどない状況でした。

そこで、ジャンルや年代に関係なく僕らが好きな音楽を自由に聴ける場所をを作りましょうよと小林さんに提案したら、「それは面白いね!」とプロジェクトがスタートしたんです。

RYUさん:そんないきさつがあったんですね。大沢さんが聞きたい音楽を知りたい人は多いでしょうね。

代々木VILLAGE by kurkku MUSIC AND BAR大沢伸一さんと小林武史さんがプロデュースした「代々木VILLAGE by kurkku MUSIC AND BAR」 。不朽の名盤から最新音源まで、2人が厳選した6,000枚超のアナログレコードライブラリーを、最高峰のサウンドシステムで愉しめる


GINZA MUSIC BAR外国人にも人気の「GINZA MUSIC BAR」 。代々木とはまた違った趣きのスタイリッシュな空間。

大沢さん:とにかくお店の主役は「お酒と音楽」。BARですから、美味しいお酒を提供するために専属のバーテンダーはもちろん、そして音楽を選曲する専任のミュージックセレクターをきちんと採用して運営しています。


RYUさん:代々木と銀座のお店で棲み分けなどはあるんですか?

大沢さん:明確な棲み分けはありませんが、どちらかといえば、代々木Villageには若い人が多い。銀座は場所柄、ちょっと大人っぽい方や外国の方が来店されています。
銀座はオープンして2年経ちますが、特に外国人のお客様に好評で、自分の国でもこういうお店をやりたいという声も聞かれます。
僕は海外のマネをしたつもりだったのですが、外国にもこうしたお店は意外と少ないようですね。


個性やセンスの磨き方

RYUさん:僕らはいつも大沢さんのセンスの良さに感心するのですが、センスはどのように磨き、さらにそれをキープしているのですか?

大沢さん:探求心を常に持つようにしています。
日本の音楽シーンでは、プロとしての活動が多忙になると、それでいっぱいになってしまって、新しいセンスを吸収できるチャンスが少なくなることが往々にしてあります。

僕もプロになった当初は、こんな忙しいのかと思うほどで、いろんなものを作る合間に新しいものを吸収することが難しくなってきましたが、今でも能動的に新しい音楽を聴いたり、映画を観るようにしています。

また、自分より後から登場した素晴らしい感性を持ったアーティストの音楽とこれから自分がやろうとしていることを比べながら音づくりを進めて行かないと、独りよがりな自己満足に陥ることもあります。センスを磨き続けるには、常に他と自分の作品を比べることで、客観的な目で自分のクオリティを肯定できることが大切だと思います。


今の時代にやるべき音楽とは?

RYUさん:そうした意味で時代とともにアーティストは変わっていくものだと思いますが、大沢さんがDJでプレイする時のポリシーなどはありますか?

大沢さん:DJに関していえば、以前はかける場に合わせて音楽をプレイすることを求められるケースが多かったのですが、最近は昔に比べて音楽にアテンションされるケースが少なくなってきたので、逆に場の空気に合わせるよりも、自分のペースに持ち込こむようにしています。


RYUさん:なるほど! さらに音楽全般へのスタンスも軸がブレてないように思えます。たとえば、日本の1対1のおもてなし文化は海外でもスゴイと評価されますけど、音楽では大勢のオーディエンスを楽しませるのが得意じゃないと言われたりもします。そのあたりはどんな風に感じていますか?

大沢さん:1対1のコミュニケーションなら、相手が望んでいるものを満たすことはできると思うんです。でもDJでは1対不特定多数となるわけですから、その人たちすべてを満足させることは難しい。かといって最大公約数を取るわけにもいかず、「御用聞き」みたいではパフォーマーとしてはよくないわけで。

「自分はこれなんです!」というアーティストとしての要素を好きになってもらうしかないと思っています。


「MONDO GROSSO」が
13年ぶりに待望の再始動!

RYUさん:そんな大沢さんに、一番影響を与えた音楽やアーティストは?

大沢さん:僕が一番大きく影響を受けたのは、80年代のニューウェーブミュージック。80年代に青春を過ごしてきた人たちに共通するのは「人と違うことにアイデンティティを感じる人たち」という点。
今の時代は、「共有」や「共感」がキーワードだと思いますが、当時は「俺とお前は好きなモノもセンスも違う。だけどリスペクトし合おう!」という感じで、人と違ったカルチャーを持ち、それを互いに受け入れあうことに価値がありましたね。


RYUさん:では、大沢さんがいま力を入れていることはなんですか?

大沢さん:DJの仕事も好きですが、音楽を作る方に戻ってきています。正直にいうと、この10年間くらいは、日本の音楽シーンに対して悲観的だった部分もあったのですが、最近は、音づくりの原点に立ち返って、もう一回チャレンジしてみようと気持ちが強くなってきました。結局、続けなければ何も変わらないと思うんです。
それで実は13年ぶりに「MONDO GROSSO」のプロダクションを再始動したところなんです。


RYUさん:それはビックニュースですね! 僕らがモンドグロッソのサウンドに初めて触れた時、とてもキラキラしていて、こんな才能が眠っていたのか!と驚いたものですが、それが再び聴けるというのは、非常に楽しみです。


大沢さんにとっての
「大人の年の重ね方」

RYUさん:年を取ることについて「中古車ではなくクラシックカーになる」というのが僕個人のテーマなんですが、年の重ね方について何かこだわりはありますか?

大沢さん:これまでは年齢をあまり意識せずに音楽活動を続けてきましたが、50歳を目前に控えて、人生を逆算して考えるようになってきました。やりたいことはたくさんあるので、限りある時間の中で、音楽家として何を創って残すかがこれからの重要なテーマです。

生き方の美学なんて大げさなものはありません。ですが「無知の知」という言葉があるように、これまでのキャリアや知識にこだわらずに、常に新鮮な感覚を大切に前進していきたいと思っています。

音楽の情報ひとつをとっても、今は動画サイトに無数の楽曲があふれていますが、誰かがそれをキュレーションして誘導してくれないと好きな音楽やアーティストと出会うことは難しい。むしろ、自分の手元にある1枚のレコードの方が価値のあることだってあると思うんです。
今は、海外と日本の音楽シーンを比較すると大きなギャップを感じます。日本では、これが聴きたいというリスナーの要望に、クリエイターが寄りすぎている気がします。

むしろ自分の好きな音楽で突っ走る人が少なくなってきて、少し寂しい。でもそんな状況だからこそ、世界を舞台に当たり前に活躍する日本人アーティストがこれから出てくる予感がしますよ!


RYUさん:大沢伸一さん、今日は本当にありがとうございました!



放送された曲目リスト

第6回(11月6日)放送分
I’M SO GLAD / MARQUIS HAWKES FEAT. JOCELYN BROWN
NEW FRONTIER / DONALD FAGEN
FOND MEMORY / AURIENT
SUNFLOWER (DJ SPINNA REMIX) / ILLA J FEAT. ALLIE
BORDERLINE (AN ODE TO SELF CARE) / SOLANGE FEAT. Q-TIP
HEAVEN / AMP FIDDLER & STEPHANIE MCKAY

第7回(11月13日)放送分
TWINKLE TWINKLE / TOM MISCH
TIME FOR LOVE / MAYER HAWTHORNE
EVERYBODY WANTS TO RULE THE WORLD / TEARS FOR FEARS
LAUGHTER IN THE RAIN / MONDO GROSSO
リズム / UA
DO WHAT YOU GOTTA DO / LOUIE VEGA FEAT. LISA FISCHER
RUNNIN / PHARRELL WILLIAMS

タリスカーとはABOUT US