LIFE WITH TALISKER 人生を豊かに彩るウイスキーコラム
タリスカーを知る
一度は行ってみたい。「タリスカー スパイシーハイボール」を生み出したバーの名店とは?
その特徴的な味わいで著名人やバー関係者にも好評の「タリスカー スパイシーハイボール」。潮風の香りと黒胡椒のようなスパイシーさ、そしてスモーキーな味わいを体現するタリスカーのハイボールは、粗挽きの黒胡椒を少々加えるだけで味がいっそう豊かになる――。初めて黒胡椒をオントップしたタリスカー ハイボールを提供したといわれるのが、品川の名店「モンド・バー 品川店」です。同店を訪れ、タリスカー スパイシーハイボールが誕生したきっかけをうかがいました。聞き手は、MHD モエ ヘネシー ディアジオのシングルモルト アンバサダー、ボブことロバート・ストックウェルです。
「黒胡椒をオントップ」
独創性が生んだハイボール
Hi,ボブです!皆さん、タリスカー飲んでますか?
そして、タリスカー スパイシーハイボール、美味しく飲んでますか?
タリスカーは、スコットランドのスカイ島の厳しくも美しい自然と海が育んだ、「孤高のシングルモルト」と呼ばれる、シングルモルト ウイスキーです。その香りや味わいは非常に複雑で魅力にあふれ、ストレートはもちろん、いろいろな飲み方を試していただきたいと思っています。中でも「タリスカー スパイシーハイボール」は、僕にとって特別なスタイル。
スカイ島の自然を体現するタリスカーの特徴を際立たせているのはもちろん、最後の仕上げにペッパーミルで黒胡椒をふりかけるというアクションも、とても気に入っています。
ところで、この「黒胡椒をオントップする」というやり方は、誰が考案したと思いますか? 「ハイ、ボクです!」と申し上げたいところですが、実は僕ではありません。
「タリスカーのハイボールに黒胡椒をオントップする」というシンプルなひと工夫で、タリスカーの香りと味わいを引きたたせる素晴らしいアイデアを考案したのは、東京・品川にある「モンド・バー」の優秀なバーテンダーの皆さんです!
人気のタリスカー スパイシーハイボールが、いつ、どのようにして誕生したのか、実際にお店にお邪魔して、お話を伺いました。
ターミナルを行き交う
人びとのオアシス
モンド・バー 品川店
「モンド・バー」は、もともと銀座のオーセンティックバーの名店として知られていましたが、マスターの長谷川治正氏が銀座に続く店舗として2004年にオープンさせたのが、モンド・バー 品川店です。
「当時、品川駅が新幹線の停車駅になると同時にアトレ品川ができ、長谷川マスターが電車を待つ間にちょっとお酒を1杯、2杯飲める場所があってもいいんじゃないかとお誘いをいただき、モンド・バーを品川にもオープンさせることになったと聞いています」と話すのは、同店のバーテンダー、町井保幸さん。
町井さんは、オープン当初からモンド・バー 品川店に勤め、初めてタリスカーのハイボールに黒胡椒をオントップした当時を知るバーテンダーの1人です。
モンド・バー 品川店 バーテンダー 町井 保幸さん
―― モンド・バー 品川店はどんなコンセプトでオープンされたのですか?
「ヨーロッパでは時刻表どおりに汽車が来ないことも多く、待つ場所として駅にバーがあります。そこで日本にもターミナル駅にバーがあってもよいのではと、お話をいただきました。アトレ品川のオープン時には、同フロアのグランドセントラルオイスターバーが3時間待ちの大盛況で、この店はウェイティングバーのようになっていましたね(笑)」
――タリスカー スパイシーハイボールを飲まれる方は多いのですか?
「品川は、新幹線を利用されるお客様だけでなく、羽田や成田空港から来る方も集まる場所なので、おかげさまで日本全国、そして海外からのお客様も大勢来店されています。たとえば、九州からいらしたお客様がタリスカー スパイシーハイボールを大変気に入られて、地元のバーで作ってもらったらスパイシーハイボールが広まった、なんていうケースもあるんですよ」
―― それはすごい影響力ですね!とても嬉しいです。
お店の入口に飾られたモンド・バー 銀座店の看板。1985年に開業した銀座のモンド・バーは、創業30周年を機に多くのファンに惜しまれながら閉店。名店の遺伝子を受け継いだお店であることの証しです
「タリスカー ハイボール」に
黒胡椒をオントップした理由
―― さて、いよいよ「タリスカー スパイシーハイボールの誕生秘話」をお聞きしたいのですが、当初の呼び名は、確か「タリスカーソーダ ペッパーオントップ」でしたよね?いろいろなお店がタリスカーソーダを出していた中、タリスカーのソーダに黒胡椒をオントップするお店は、モンド・バーが初めてだと思います。この素晴らしい発想やアイデアはどなたが思いついたのですか?
「お店でタリスカーのソーダ割りにペッパーをかけてお出しするようになったのは、確か2011年ごろだったと思います。僕の先輩にあたるチーフバーテンダーが横浜出身で、横浜時代のお客さんがいらっしゃった時に、タリスカーのハイボールを注文されたんです。その先輩がソーダ割りをつくって、大ぶりのペッパーミルを使って胡椒を挽いていたのをよく覚えています。おそらくそれがタリスカー スパイシーハイボールの始まりだったのではないでしょうか。チーフのペッパーオントップを真似て、他のお客様にもお勧めするようになった、というのが経緯です。
その当時は、ブラック、ピンク、ホワイト、3種類の胡椒を用意してスタートしましたが、最終的にタリスカーと一番相性の良い黒胡椒に落ち着きました」
―― 今では、当たり前のように黒胡椒をオントップするタリスカー スパイシーハイボールですが、お客様のリクエストから生まれたなんて、とてもファンタスティックなエピソードですね!
「タリスカーソーダ ペッパーオントップ」として提供されていた当時に使用していた透明なペッパーミル
お客様との会話を
ヒントに開発された
「タリスカー オリジナルペッパーミル」
―― お店でペッパーミルを使っていると、他のお客様からも注目されませんか?
「実はそうなんです(笑)。片手でプッシュする現在のタリスカー オリジナルペッパーミルもそうなんですが、こうして仕上げに黒胡椒をかけていると、カウンターにいる他のお客様から『それは何?』と訊かれることが多いですね。それでタリスカー スパイシーハイボールを初めて飲んでみるという方も結構いらっしゃいます。ですが、今使っているタリスカーのペッパーミルも、お客様とのやりとりがヒントになって開発されたんですよ」
お店で使っているタリスカー オリジナルペッパーミル。中央左が初代のペッパーミル、右が現在のもの
―― え、そうなんですか?
「はい、お店でもともと使っていた先ほどのペッパーミルは両手で胡椒を挽くのですが、とあるお客様に『片手でできたらいいんじゃない?』とアドバイスされたんです。確かに片手ならスマートだなと思って、MHD(モエ ヘネシー ディアジオ)さんにお願いして、オリジナルのペッパーミルを作っていただきました。使いやすく、本当に重宝しています」
―― タリスカー スパイシーハイボールに欠かせないペッパーミルにもそんなエピソードがあったとは!お客様の声から生まれたペッパーミルだったのですね。
タリスカー スパイシーハイボール
発祥店としてのこだわり
―― タリスカー スパイシーハイボールをつくる上で、お店ならではのこだわりのポイントはありますか?
「一つは、ソーダですね。多くのバーで使われる定番銘柄のソーダも用意していますが、特に指定がなければ、炭酸圧最大で炭酸の粒子をすごく細かくしたソーダメーカーを使って、タリスカー スパイシーハイボールをつくります。初めてのお客様に何度も「水割りじゃないよね?」と聞かれるほど(笑)、きめ細かな泡によって、弾けるような華やかなフレーバーがお愉しみいただけると思います。
もう一つはグラスです。昔からウチで使っている山型グラスは、すべて手作り。お店が忙しいとグラスをバンバン重ねてしまうので、グラスの口元が割れやすくなってしまう。それで山型の形状にしました。モンド・バー 銀座店があった当時は、ほぼこれしか使っていませんでした。長谷川マスターのこだわりというか、カクテルにしても、ハイボールにしても、これをほぼ必ず使います。ただ製造中止になってしまったので、これからも大切に使っていきたいですね」
―― ソーダにも、グラスにもこだわって飲む。さすが、素晴らしいですね!
グローバルに広がる
タリスカー スパイシーハイボールと
これからの展望
―― ハイボールの人気は、本場のスコットランドを始め、グローバルに広がってきていて、タリスカー蒸留所でも、日本発のタリスカー スパイシーハイボールが正式なメニューとして採用されました。これもモンド・バーさんのおかけですね。これからの抱負や展望についても聞かせてください!
「え、本当ですか! それは僕らとしてもとても嬉しいです。タリスカーソーダ ペッパーオントップに始まり、現在ではタリスカー スパイシーハイボールとして提供していますが、黒胡椒をオントップし始めた当時から思えば、世界にこの飲み方が広がっているのは本当に感慨深いです。 これからも東京の玄関口として、モンド・バー品川店からタリスカー スパイシーハイボールを始め、さまざまなお酒の新しい魅力を発信していきたいと思います。」
―― そうですね、ぜひこれからもタリスカーとタリスカー スパイシーハイボールをよろしくお願いします。それでは、モンド・バーとタリスカーの未来に向けて乾杯しましょう!スランジ・バー!
- モンド・バー 品川店
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住所/東京都港区港南2-18-1 アトレ品川 4F
TEL/ 03-6717-0923
営業時間/11:00~24:00
定休日/1/1、1/2、2月・8月のビルメンテンス日
今回ご登場いただいたバーテンダー
モンド・バー 品川店
町井 保幸さん
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