シングルモルト スコッチウイスキー タリスカー MADE BY THE SEA

LIFE WITH TALISKER 人生を豊かに彩るウイスキーコラム

タリスカーのできるまで。ウイスキーづくりの基本を知っておこう。

タリスカーを知る

タリスカーのできるまで。ウイスキーづくりの基本を知っておこう。

新しい生活様式が浸透し、家飲みを楽しむようになったことをきっかけに、ウイスキーを愉しむ方が増えています。一度ウイスキーの魅力に取りつかれると、その奥深い世界にどんどん引き込まれていってしまうもの。今回は、シングルモルトウイスキー・タリスカーのできるまでをご紹介しながら、ウイスキーづくりの基本を解説します。タリスカーをまだ飲んだことがない方には、手に取っていただける機会となれば幸いです。

スコッチウイスキーの定義

スコッチウイスキーがどのように製造されているかを知るには、最初にスコッチウイスキーの定義に触れておいた方が良いかもしれません。

スコッチウイスキーをひと言で表すなら、「スコットランドの蒸留所でつくられたウイスキー」ですが、日本酒が酒税法によって厳格に管理されているのと同様に、スコッチウイスキーにも英国の法律で定められた細かい定義があります。

例えば、「水と酵母と大麦麦芽を原料としたもの」「スコットランドの蒸留所で糖化・発酵・蒸留を行ったもの」「スコットランドの保管庫で3年以上熟成されたもの」「瓶詰めする際のアルコール度数は40%以上」など、スコッチウイスキーは造り方も含め、厳格な基準として定められています。

ここでのポイントは、「大麦麦芽を原料としている」点です。
タリスカーのような「シングルモルト スコッチウイスキー」は大麦麦芽(モルト)だけを使用しており、トウモロコシでつくられるグレーンウイスキーとは原料もつくり方も違います。このことを頭に入れてから、つくり方へと進みましょう。

大麦麦芽の香りを感じてみよう。
タリスカーを数滴手のひらにとって手をこすり合わせて香りを嗅いでみましょう。タリスカーの海潮の香りや黒胡椒のような香りの奥から、原料である大麦の香りがほんのりとたちのぼってきます。ぜひ試してみてください。
詳しいやり方は、こちら

タリスカーのできるまで①
製麦[モルティング]

お酒が穀物や果実の原料を発酵させてつくられていることをご存じの方も多いと思いますが、ウイスキーの場合、大麦麦芽を発酵できるように加工する必要があります。そのための前準備となる仕込み作業が製麦(モルティング)です。

大麦には大きく二条大麦と六条大麦の2つに分けられますが、お酒に使うのが二条大麦。ウイスキーはこの二条大麦を3日間水に漬けて発芽させてから乾燥させ、これを粉砕してグリストと呼ばれる麦芽の粉をつくります。このグリストを次の糖化で使用します。

乾燥によって生まれるスモーキーな香り
水分を含んだ大麦麦芽を乾燥させる際、燃料にピートと呼ばれる泥炭を使うことでタリスカーの特徴の一つである独特のスモーキーフレーバーがつきます。
詳しくは、こちら

タリスカーのできるまで②
糖化[マッシング]

乾燥させた麦芽を粉砕したグリストは、マッシュタン(糖化槽)と呼ばれる大きな金属の容器に移されます。これに仕込み水を沸かした約70℃のお湯を加え、ゆっくりと攪拌します。時間が経つと、麦芽から溶け出したでん粉が糖分に分解され、ウォートと呼ばれる甘い麦汁ができあがります。これを発酵に使用します。

この作業をマッシングといいますが、職人がここで失敗をすれば後の工程に響くため、温度管理も非常にデリケートに行われます。

蒸留所のみどころ「マッシュタンルーム」
タリスカー蒸留所ではビジター向けの見学ツアーを行っていますが、マッシュタン専用のマッシュタンルームがあり、ツアーの見どころの一つとなっています。

タリスカーのできるまで③
発酵[ファーメンテーション]

できあがったウォートはろ過した後、ウォッシュバックと呼ばれる発酵槽に送られます。ウォートに酵母を加え、ウォッシュバックの中で乳酸発酵を促します。時間をかけて発酵させると、7~9%のアルコールを含んだ発酵液ができあがります。

ちなみに、ウォッシュバックの素材は蒸留所によって異なります。木材を使うところもあれば、金属を使うところもありますが、タリスカー蒸留所では、昔ながらのオレゴンパイン(オレゴン松)が使われています。

フルーティーな香りと味わいの秘密
発酵時間も蒸留所によって異なり、通常は50~60時間程度ですが、タリスカー蒸留所では約70時間かけて行います。これが、独特のフルーティーな香りと味わいを生み出すのです。

タリスカーのできるまで④
蒸留[ディスティレーション]

発酵液ができあがると、いよいよ蒸留です。蒸留とは、水とアルコールの沸点の違いを利用して、アルコールを分離して取り出す作業です。大麦麦芽を使用するモルトウイスキーの蒸留は、ポットスチルと呼ばれる銅製の単式蒸留器を使って行います。

蒸留によって蒸気を発生させ、アルコールが約78度で沸騰する性質を利用し、水より先に気化したアルコールや香りの成分を、再度冷やして液化することで抽出する仕組みになっています。

スコッチは2回蒸留を行いますが、1回目の蒸留を行うポットスチルを「初留釜」、2回目を行うスチルを「再留釜」と呼び、発酵液の段階では、7~9%だったアルコール濃度を65~70%まで高めます。こうして蒸留を終えた液体は、「ニューメイクスピリッツ」や「ニューポット」と呼ばれる蒸留酒(スピリッツ)となります。

ウイスキーを取り出す熟練の技「ミドルカット」
2回目の蒸留(再留)後に、ニューメイクスピリッツを取り出すのに使われるのが「スピリッツセーフ」。ウイスキーとして使用する部分を取り出すスピリッツカットという作業を行う設備です。スピリッツセーフから出てくる最初と最後の液体は、アルコール度数が高すぎたり、雑味の基となる成分が含まれているためカットします。これをミドルカットと呼び、重要な工程なので熟練した職人が行います。

タリスカーのできるまで⑤
熟成[マチュレーション]

スコッチは最低3年、オーク樽で熟成するという冒頭の決まりがあるため、できあがったスピリッツをオーク樽に詰めて熟成を行います。熟成することで、初めて「ウイスキー」と呼ぶことができるようになります。実際には、シングルモルトウイスキーの多くが10年以上の長い年月をかけて熟成します。タリスカーの場合、主にバーボン樽の熟成に使われたアメリカンオーク樽かシェリーの熟成に使われたヨーロピアンオーク樽を使用しています。

ウイスキーの製造工程の中で最も長い年月を費やす熟成こそがウイスキーの出来を左右するといっても過言ではありません。

天使の分け前
年月が経つにつれ、少しずつ樽詰めされたウイスキーの量は減っていきます。これを「天使の分け前(エンジェルズ・シェア)」と呼びます。この現象は樽が空気を取り込み、ウイスキーのアルコールが少しずつ蒸散するために起こるからなのですが、天使がこっそり飲んだ分だけウイスキーが美味しくなるといわれています。
詳しくは、こちら

タリスカーのできるまで⑥
瓶詰め[ボトリング]

熟成が終わると、できあがったウイスキーの瓶詰めを行います。とはいっても、熟成に使用した一つの樽から直接ボトリングするわけではありません。保管庫に置いた位置や、個々の樽の個性によってウイスキーの風味が変わってくるため、複数の樽のウイスキーを混合して、香りや味わいを安定させる作業が必要となります。これをヴァッティングといいます。ヴァッティングに終えたウイスキーをボトリングすることで出荷できる商品となります。

ラベルの年表示の意味は?
シングルモルトウイスキーのラベルには「年」を表示しているものが多くあります。例えば、「タリスカー10年」の表示の意味は、最低10年以上熟成したウイスキーを使っているという意味です。言い換えれば、ヴァッティングの際、10年未満の樽は使っていないということを表しています。

タリスカー蒸留所を
バーチャルツアーで体験してみよう

スコットランド・スカイ島にあるタリスカー蒸留所ではビジターセンターがあり、誰でも見学することができます。日本のタリスカーファンの中には、タリスカーの聖地ともいえる蒸留所まではるばる長旅する人も少なくありません。

「しかし、現地に行くのはちょっと難しい…」、そんな場合は、Googleストリートビュー上で見られる、「タリスカー蒸留所バーチャルツアー」で体験してみては? ご紹介してきたウイスキーづくりのプロセスの一部が、まるで現地に行ったかのように見ることができますよ!閲覧の際は、フルブラウザで没入感を味わってみてください。

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